調査リリースの公開前に確認するのは、調査概要、数字の整合、表現の根拠、出典、権利の5つのグループです。記事で引用される調査リリースは、結果の見出しよりも、「いつ・誰に・何人に・どの方法で聞いたか」が確認できるかどうかで信頼が決まります。公開の直前に使える確認項目と、調査概要の記入欄をまとめます。
公開前に確認する5つのグループは?
確認の漏れは、グループごとに担当を分けると防げます。
| グループ | 確認すること | 主な担当 |
|---|---|---|
| 調査概要 | 実施主体・期間・方法・対象・有効回答数・設問が書かれている | 広報・調査担当 |
| 数字の整合 | 本文・表・グラフの数字が一致し、母数が明記されている | 調査担当と、作成者以外の確認者 |
| 表現の根拠 | 見出しや本文の言い切りが、調査結果で言える範囲に収まっている | 広報・法務または表示の確認者 |
| 出典 | 他の統計や資料を載せる場合、出典名・公表時期・URLが書かれている | 広報 |
| 権利・同意 | 引用・転載、調査会社の表記ルール、社内の承認がそろっている | 広報・法務 |
調査概要には、何を書く?
記者や読者が結果を判断できるよう、次の項目を本文の末尾か別枠にまとめます。「〇〇」は自社の内容に置き換えてください。
| 項目 | 記入内容の型 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 調査名 | 「〇〇に関する意識調査」 | 見出しの表現と食い違っていない |
| 実施主体 | 実施した企業名(調査会社に委託した場合は委託先も) | 委託の有無が分かる |
| 調査期間 | 〇年〇月〇日〜〇月〇日 | 公開日との差が分かる |
| 調査方法 | インターネット調査、郵送調査など | 方法を一言で言える |
| 調査対象 | 年代・居住地・職業などの条件 | 見出しの主語と「誰に聞いたか」が一致している |
| 有効回答数 | n=〇〇人(性別・年代別の内訳) | 有効回答の定義と、除外した回答の扱いが分かる |
| 回答者の抽出方法 | 調査会社のモニターから条件に合う人に配信 など | 自社の顧客だけに聞いていない |
| 設問と選択肢 | 設問文の全文、選択肢、複数回答の有無 | 選択肢の並びが誘導的でない |
| 備考 | 四捨五入による合計のずれ、母数が小さい区分の注記 | グラフと本文に反映されている |
n数の考え方はn数とは?サンプル数の計算式と信頼の目安、設問の聞き方はアンケートの設問設計で避けたい5つのバイアスとは?誘導しない聞き方で解説しています。
数字と文章は、合っている?
数字の誤りは、記事に引用された後では訂正が追いつきません。公開前に、作成者とは別の人が検算します。
- 単一回答の割合の合計が100%前後か(四捨五入によるずれは備考に書く)
- 本文・表・グラフ・見出しの数字が一致しているか
- 「全体のn」と「絞り込み後のn」を取り違えていないか
- 属性別の集計で、人数が少ない区分を言い切っていないか(傾向として書く)
- 増減を書くとき、比較元(前回調査・前年)の調査条件がそろっているか
- 単位、小数点、「約」「およそ」の使い方がそろっているか
グラフの見せ方は調査結果のグラフはどう作る?メディアに引用される見せ方の基本で整理しています。
見出しや本文の言い切りは、調査結果の範囲に収まっている?
「〇〇が最も選ばれた」「No.1」「〇%が支持」といった言い切りは、調査の対象と方法の範囲でしか言えません。消費者庁は、令和6年9月26日に公表した「No.1表示に関する実態調査報告書」で、主観的評価によるNo.1表示の調査結果が合理的な根拠と認められるには、少なくとも次の4点を満たす必要があるとしています(消費者庁、報告書本文はPDF)。
1. 比較する商品等が適切に選定されていること
2. 調査対象者が適切に選定されていること
3. 調査が公平な方法で実施されていること
4. 表示内容と調査結果が適切に対応していること
同報告書が問題となるおそれがある例として挙げた内容を、リリースの確認に置き換えると次のとおりです。
| 観点 | 問題となるおそれがある例(同報告書) | リリースでの確認 |
|---|---|---|
| 比較対象 | 市場の主要な同種商品の一部を比較に含めない。検索で上位に出たものだけを比較する | 比較対象の選び方を、調査概要に書けるか |
| 調査対象者 | 自社の商品を継続して購入している顧客だけ、または社員や関係者を対象にする | 対象者が無作為に抽出されているか |
| 調査方法 | 自社の商品を選択肢の最上位に固定する。1位になるまで調査を繰り返す | 設問と選択肢の順序、実施回数に偏りがないか |
| 表示と結果の対応 | 「顧客満足度No.1」と示しながら、商品を利用したことがない人も対象にする | 見出しの主語と、調査対象が一致しているか |
同報告書は、第三者の調査会社が裏付けとなる調査を行っていても、不当なNo.1表示についての責任は広告主にあるとしています。調査会社に任せていても、調査の内容が表示に対応しているかは、自社で確認が必要です。また、表示の根拠となる調査の内容は、表示物に調査方法の概要を示すか、QRコードなどで容易に確認できるようにすることが望ましいとされています。
なお、同報告書は広告の表示についての考え方です。プレスリリースが景品表示法上の「表示」にあたるかは、内容や目的によって判断されます。商品やサービスの優良性を訴える言い切りを入れる場合は、上の観点で確認し、判断に迷うときは法務や専門家に相談してください。
出典と引用は、何を確認する?
他の調査や統計の数字を添える場合は、次の項目をそろえます。
- 出典名(発表者)と、資料のタイトル
- 公表年月と、データの対象期間
- 出典のURL(公式の原資料を優先する)
- 数値を転記したときの、元資料との照合
グラフや表をそのまま転載する前に、引用にあたるか、許諾が必要かを確認します。文化庁の資料では、引用の条件として、公表された著作物であること、引用の必然性があり引用部分が明確に区別されること、自分の著作物との主従関係があり引用が必要最小限であること、出所の明示が必要であることが整理されています(文化庁「著作権制度の概要について」令和6年度)。
調査会社や外部のデータを使う場合は、利用条件の表記ルールも確認します。たとえばクレステップのFACT DASHでは、データの商用利用にあたり、出典として「クレステップ調べ」とリンクの明記をお願いしています(FACT DASHのよくあるご質問)。
公開直前のチェックリスト(コピー用)
- □ 調査名・実施主体・調査期間・調査方法・調査対象・有効回答数が書かれている
- □ 見出しの主語と、調査対象が一致している
- □ 回答者の抽出方法と、除外した回答の扱いが書かれている
- □ 設問文と選択肢が確認でき、誘導的な並びになっていない
- □ 本文・表・グラフ・見出しの数字が一致している(作成者以外が検算した)
- □ 割合の合計のずれと、母数が小さい区分に注記がある
- □ 「No.1」「最も」「〇%が支持」などの言い切りに、調査結果の根拠がある
- □ 比較対象・調査対象者・調査方法・表示内容の4点を確認した
- □ 他の統計や資料に、出典名・公表時期・URLがある
- □ 引用・転載の条件と、調査会社の表記ルールを確認した
- □ 社内の承認(広報・法務または表示の確認者)を得た
- □ 問い合わせを受ける窓口と、追加の質問への回答資料がある
クレステップに相談できることは?
FACT DASHの「オーダーメイド・カスタム調査」では、対象者の条件・設問内容・サンプル数まで、企画に合わせて設計できます。「そもそも何を調査すれば記事になるのか」という段階から、調査設計のプロが伴走します。相談・見積は無料で、金額は相談内容(対象条件・設問数・サンプル数など)を確認したうえで個別に提示します(オーダーメイド・カスタム調査)。
公開前の確認のご相談も、個別のご相談で実施も可能です。必要な場合は、ご要望をお聞かせください。費用の考え方は調査PRの依頼費用はいくら?相場・見積の内訳と費用対効果の考え方で整理しています。
よくある質問
調査概要は、どこまで詳しく書けばよいですか?
n数が少ないときは、公表しないほうがよいですか?
調査会社に任せていれば、自社での確認は不要ですか?
調査リリース全体の作り方は、どこで確認できますか?
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